若者支援の最前線 |「なんとなく生きてる子が多すぎる」
「なんとなく生きてる子が多すぎる。だけど彼らは、本当はとんでもない力を持ってる」
そう語るのは、NPO法人「夢ノ森伴走者CUE(キュー)」代表の向山遥温(むこうやま・はる)さん。姫路市夢前町を拠点に、10代・20代の学生が社会課題に挑戦する場をつくり続けている若きリーダーです。
高校卒業後すぐにNPOを立ち上げた向山さん自身、小学生の頃から平和や社会問題に関心を持ち、悩みながらも行動してきたひとり。
「誰かに話しても“変わってる”って言われるだけで、理解してくれる人がいなかった。だから、自分が同じ思いを持っている子の“伴走者”になろうと思ったんです」
夢ノ森伴走者CUEには、将来への不安や葛藤を抱える学生たちが集い、それぞれの関心やワクワクを起点に、社会課題と向き合うプロジェクトを実践しています。

「社会問題を声高に訴えるだけではなく、自分の“やってみたい”という気持ちを信じてほしい」と向山さん。
「その“ワクワク”が人を動かす原動力になる。否定されない環境の中で、自分の気持ちに気づき、少しずつ行動に変えていく。その一歩を、僕たちが伴走していきたい」
その拠点のひとつが、「Caféむすびめ」。特別養護老人ホーム「光寿園」の一角を活用し、地域の誰もが気軽に立ち寄れる“交流の場”として2023年に誕生しました。
リボンの結び目のように、さまざまな世代や立場の人が交わる場をつくりたい——そんな想いから名付けられたこのカフェ。
店内には「LIFE NOTE」と呼ばれるノートが置かれ、訪れた人がメッセージを自由に書き残すことができます。直接言葉を交わさなくても、思いが循環し、また次の誰かの“気づき”になる。
学生スタッフが日替わりで運営するこの場所は、まさに「優しさの循環」が育まれる拠点となっています。高校生が動かす、“見えない壁”──「cocowa(ココワ)」が届けた対話の場

「障がいがあるから諦めないといけないことがある社会って、やっぱりおかしいと思うんです」
姫路市立琴丘高校3年生の原瀬乃彩さん
原瀬さんはもともと福祉に関心があり、将来もその分野に進みたいと考えていたといいます。
受験を控えたある時期、ふと幼い頃から一緒に暮らしてきた聴覚障害のある叔母の言葉を思い出しました。
「“障害があるからできない”ことが多くて、健常者との間に壁を感じている。」
何気ないそのひと言が、今も社会に横たわる“見えない壁”を象徴しているように思えた——そう原瀬さんは語ります。
「自分にできる小さな一歩を踏み出してみよう。そう思って、このイベントを企画しました」
CUEとの出会いは、学校の友人を通じて。向山氏に想いを伝えたところすぐにプロジェクトが立ち上がり、約2ヶ月後にはイベント実施にこぎつけたのだとか。行動の速さには、彼女の真っ直ぐな熱意がにじみます。
当日行われたグループワークでは、「自己紹介カード」を使って一人ひとりが自分の“好き”や“個性”を描きながら自己紹介。肩書きや属性を超えて、自由な表現が場をほぐし、自然な対話と笑顔が生まれていました。
原瀬さんは最後にこう話してくれました。
「これからも、自分がワクワクできる“福祉の形”を、仲間と一緒につくっていきたいです」

夢ノ森伴走者CUE代表・向山遥温さんもこう語ります。
「“障がい者は施設にいればいい”っていう空気が、この社会にはまだある。でも、もっと自然に出会って、話して、知っていくことで、社会の壁はきっと低くなると思うんです」
若者が動かす“優しさの循環”は、静かに、でも確かに、地域に広がりはじめています。「優しさの循環」が、社会を変えていく

夢ノ森伴走者CUEは、現在18の学生プロジェクトを伴走しています。
向山さんが描く未来は、「社会に変化を起こせる若者」をユース世代の3.5%まで育てていくこと。これは、社会の空気を変えるために必要な“臨界点”とされる割合であり、向山さんはその可能性を信じています。
「若者の多くは“自分には何もない”と感じている。でも実際は、とんでもないエネルギーと可能性を秘めている。その力を引き出すには、自分の“ワクワク”に気づき、一歩を踏み出せる環境が必要なんです」
さらに向山さんは、自らの人生をかけて目指すゴールとして「武器のない世界をつくる」ことを掲げています。
「命って、先人から受け継がれてきたものだと思うんです。生まれた瞬間からいろんな愛を受けて、今ここに生きている。その命を“次の世代へ”と手渡すために、今の自分にできることを、コツコツ積み重ねていきたい」
武器をなくすためには、まず心の中の“壁”をなくしていくこと。そして、それぞれの“居場所”を地域につくっていくこと。CUEはその最前線に立ち、今日も若者たちとともに「優しさの循環」を広げています。【次回のイベント】親子で自然の中へ「おやこで里山秋まつり」(2025年9月28日(日)開催予定)

次に夢ノ森伴走者CUEが届けようとしているのは、親子で自然に触れながら“そのままの自分”で過ごすことをテーマにした里山イベントです。
「日常の役割や制約から少し離れて、親子で心から楽しめる時間を持ってほしい」——そんな想いから立ち上がったこの企画では、参加者が安心して過ごせる空間づくりが大切にされています。
予定プログラム:
カリンバ演奏の音楽体験
自然素材を使ったワークショップ
星や木をテーマにしたパネルシアター
【イベント申し込み・団体情報】
■ 2025年9月28日 (日)開催「おやこで里山秋まつり」参加申し込み
▶︎ お申し込みフォームはこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdBnY83rjOGhRqDZERobnidh4Mx8AK-PBr6c6DeTDdTOo0ybQ/viewform
▶︎ 公式ホームページ: https://www.yumecue.com/
▶︎ お問い合わせ: info@example.com
▶︎ Instagram:@yumenomori_cue
あなたも今日から「優しさの循環」の仲間に−−
CaféむすびめやCUEの活動は、特別なスキルや時間がなくても関われます。
たとえば、こんな小さな一歩から始められます。
カフェでお茶を飲むだけでもOK – ほっと一息つきながら、地域の人とのつながりを感じられます。
イベントにお子さんやお友達と参加 – 親子で楽しい時間を過ごしながら、自然に交流が広がります。
SNSで活動をシェア – いいなと思った記事や写真を「いいね」やシェアするだけで、応援の輪が広がります。
物品の寄贈や寄付 – 学生たちがそれぞれの目指すプロジェクト実現のために動く活動資金や道具として活用されます。
あなたの一歩が、また次の誰かの笑顔につながります。
\\今回ご紹介したような“季節の暮らしの工夫”を、次回もお届けします//
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