まだ夜が明けきらない時間。姫路市中央卸売市場では、すでに人の動きが始まっています。
今回、お話を伺うのは、姫路市中央卸売市場の中にある青果店、岡本青果株式会社で働く岡本浩一さん。
普段の暮らしの中では、なかなか足を運ぶことのない場所。けれどここには、私たちの食を支える日常があります。__家族との時間を守るために選んだ仕事

岡本さんは姫路生まれ。
調理師専門学校を卒業後は、調理師やレストラン勤務、ソムリエとして働いてきました。
ずっと「食」に関わる仕事をしてきた中で、家業である青果店を継ぐことになったきっかけは、お子さんの誕生でした。
「飲食店勤務だと、どうしても妻がワンオペになってしまうなと思って」
生活を見直したとき、自然と家業を継ぐという選択にたどり着いたといいます。
現在、岡本青果では野菜のみを扱っています。青果店の中には果物を取り扱うところも多い中、野菜に特化しているのも特徴のひとつです。
岡本青果株式会社で働く人の多くは、30代〜40代の子育て世代。「子どもが寝ている間に働いて、学校から帰ってきたら家にいられる」そんな働き方ができるのも、中央卸売市場の仕事ならではです。
__仕事だけじゃない、“もう一つの場所”
忙しい日常の中で、岡本さんにはもう一つの時間があります。それが、ランニングクラブでの活動です。
「仕事でも家庭でもない、“第3の場所”なんですよね」
この言葉が、とても印象に残りました。同じ時間に集まり、同じ方向を向いて走る仲間。利害関係のない関係だからこそ、自然に会話が生まれる。
「大人になってから、こういう場所ってなかなかないじゃないですか」
ただ走るだけではなく、人とつながる時間でもある。市場で働く日常と、ランニングの時間。
その両方があることで、日々のバランスが保たれているように感じました。
岡本青果ランニングクラブの記事を見る▶︎

__姫路中央卸売市場から広がる新しい取り組み
岡本さんは現在、青果店の仕事に加えて、姫路中央卸売市場の活性化にも取り組んでいます。
同世代で家業を継いだメンバーや若手が中心となり、市場をもっと盛り上げるためのプロジェクトが動き始めています。
「これからどうしたら市場がもっと面白くなるか、考えているところです」
さらに今年は、まだ決まってませんが、姫路の港の花火大会と連動した企画や、秋に行われる「市場市民大感謝祭」など、市場イベントも今後さらに広がっていきそうです。
また、この市場将来プロジェクトチームから生まれた「市場ラーメン」もご好評いただいています!
「食を通じて、人が出会う場所をつくりたい」その思いが、少しずつ形になっています。
__普段は見えない“姫路の市場”という場所

今回、初めて姫路市中央卸売市場を訪れました。
私たちが普段何気なく手にしている野菜も、こうした場所での仕事があってこそ届いているのだと実感します。
青果店、精肉店、魚屋。それぞれの仕事が重なり合って、日々の食が支えられている。そしてその中で、業種を超えて協力しながら、新しい取り組みが生まれているということ。市場という場所は、単なる流通の場ではなく、人と人がつながる場でもあるのだと感じました。
__続けることで見えてくるもの
「長い目で見たときに、市場にとってもこの次世代プロジェクトは、プラスになると思うんです」岡本さんはそう話します。
食を支える市場。そして、人が集まる場所としての市場。今回お話を伺っている中で印象的だったのは、岡本さんのまわりに、自然と人が集まってくることでした。取材中も、次々と声をかけられたり、周りの方がいろいろと教えてくださったりと、終始あたたかい空気に包まれていました。
岡本さん自身が身に纏う、温かい雰囲気があるからこそ、人が集まり、また新しい動きが生まれていくのかもしれません。



